近年のトレーニング理論では、「必要以上に追い込むよりも、トレーニングボリューム(総負荷量)が重要である」という考え方が主流になってきています。実際、科学的な研究でも、トレーニングボリュームが筋肥大や筋力向上に大きく関与することが示されています。
しかし、「ただボリュームを稼げばいい」という認識のままでは、いずれ成長は頭打ちになります。本記事では、ボリュームに加えて 「漸進性」や「筋力の向上」 がいかに重要かを解説します。
トレーニングボリュームとは?
トレーニングボリュームとは、一般的に「重量 × 回数 × セット数」で表される総負荷量のことを指します。
- 10kg × 10回 × 3セット = 300kg(総ボリューム)
この数値が高いほど、筋肉への刺激は大きくなり、筋肥大につながりやすいとされています。
ボリュームだけに頼るトレーニングの限界
いくら高いボリュームをこなしても、トレーニングの中身が変わらなければ成長は止まります。たとえば、
- 重量がずっと同じ
- 回数やセット数も変わらない
- 負荷が漸進的に増えていない
こうした“停滞したルーティン”は筋肉が慣れてしまい、成長がストップします。これは、「過負荷の原則(Progressive Overload)」を無視したトレーニングです。
時間は有限。だからこそ「筋力を伸ばす」ことがカギ
「それなら、ひたすらボリュームを増やせばいいのか?」というと、答えはNOです。私たちの1日は限られており、毎回のトレーニングに何時間もかけることは現実的ではありません。
ここで重要になるのが、筋力の向上です。
例:
- 初めは10kg × 10回 = 100kg(1セットあたりのボリューム)
- 筋力がつき、12kg × 10回 = 120kgに向上
同じセット数・時間でも扱う重量が増えれば、自然とボリュームも上がります。これが「質」を高めるトレーニングです。
筋力アップには“低回数・高重量”も必要
筋力を伸ばすには、高重量・低回数のトレーニングも取り入れる必要があります。一時的にセットあたりのボリュームは下がるかもしれませんが、長期的に見れば扱える重量が増え、結果的にトレーニング全体のボリュームも底上げされます。
つまり、「筋力を上げるためのトレーニング」と「筋肥大を狙った高ボリュームのトレーニング」をバランスよく組み合わせることが重要です。
フォーム・食事・休息も成果に直結する
筋力を効率よく伸ばすためには、トレーニングフォームの安定性が欠かせません。フォームが崩れていれば、本来鍛えたい部位への刺激が弱くなり、ケガのリスクも高まります。
また、食事と休息も非常に重要です。筋肉はトレーニング中ではなく、休息と栄養によって成長します。タンパク質を中心とした栄養バランスの取れた食事と、十分な睡眠を意識しましょう。
トレーニングの原理原則を忘れずに
成果を出し続けるためには、以下のような原理原則を理解し、トレーニングに取り入れることが不可欠です。
- 過負荷の原則:成長には少しずつ負荷を高めていくことが必要
- 可逆性の原則:やめれば筋力・筋量は元に戻る
- 個別性の原則:効果的な刺激は人によって異なる
- 特異性の原則:目標に合った部位・動作を狙うことが大切
まとめ:漸進性と筋力向上を意識せよ!
トレーニングは「ボリュームをこなすこと」だけが目的ではありません。筋力の向上、フォーム、食事、休息といった要素を総合的に高めていくことが、理想の身体に近づく鍵です。
つまり、ボリュームだけにとらわれず、漸進性を意識して筋力アップを軸にしたトレーニングを組み立てることが、長期的な成果を出すために重要なのです。
- トレーニングはボリュームだけでは頭打ちになる
- 漸進的な負荷の増加は成果を継続させるカギ
- 筋力向上は限られた時間で効率的に成果を上げる手段
- フォーム・食事・休息も忘れず見直そう
トレーニングは、「やみくもにやる」時代から「考えて積み上げる」時代へ。
種目・フォーム・頻度・インターバル・意識・栄養・休息など、すべての要素が絡み合って成果に影響を及ぼします。一つの要素に偏ることなく、全体を見ながら、自分の身体と向き合っていきましょう。