筋トレをするとき、多くの人は「持ち上げる」動作に意識を集中しがちです。しかし、トレーニング効果を倍増させたいなら、実は持ち上げた重りを「下ろす」動作が非常に重要であることをご存知でしょうか?
この下ろす動作は「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」と呼ばれ、筋肉をより効果的に刺激するポイントとなります。本記事では、エキセントリック収縮についてと、そのトレーニングへの応用について詳しく解説します。
エキセントリック収縮とは?
筋肉の収縮には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 筋肉が縮むことで力を発揮する動作
(例:ダンベルカールでウェイトを持ち上げるとき)
- 筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する動作
(例:例:ダンベルカールでウェイトをゆっくり降ろすとき)
- 筋肉の長さを変えずに力を発揮する動作
(例:プランクや壁押し空気椅子など)
この中でも、特にエキセントリック収縮が筋肥大や筋力向上に大きな影響を与えることが研究で明らかになっています。🔍
下ろす動作が重要な理由!
1. 筋繊維の損傷が大きく、超回復が促される
エキセントリック収縮では、筋肉が引き伸ばされながら収縮します。筋肉はゴムと性質が似ています。ゴムがちぎれるときはどういった時でしょうか?そうです、強く引っ張った時にちぎれます💥
筋肉も同じで持ち上げた重りを下ろす動作の時に筋繊維に微細な損傷が生じやすくなります。この損傷は、食事でタンパク質をしっかり摂り、適切な回復を経ることでより強く、太い筋繊維へと成長する「超回復」の過程を促します。結果として、効率よく筋肥大を目指すことができます。
2. より大きな負荷を扱える
コンセントリック収縮に比べ、エキセントリック収縮では約1.3倍ほど大きな負荷をコントロールできると言われています。
例えば、スクワットで自分では持ち上げることが出来ない重りでも持ち上げた状態からならある程度コントロールをして下ろす事ができます。つまりトレーニングでは持ち上げるときよりも、ゆっくりと下ろす動作のほうが重い重量を扱えることができるため、筋肉に強い刺激を与えることが可能です🏋️♀️
3. 筋肉の意識を高める
下ろす動作をゆっくり行うことで、筋肉が使われている感覚や、持ち上げて力の入った筋肉が下ろす過程では、力が入ったまま筋肉が伸ばされていく感覚が味わえます。下ろす動作では重りを筋肉で味わう様に戻してみましょう。
4. 神経系の適応を促し、筋力向上に貢献
下ろす動作は、神経系(脳と筋肉の伝達)に強い刺激を与えるため、筋力の向上にも効果的です。
特にスポーツパフォーマンスの向上を目指すアスリートにとって、この神経適応は非常に重要な要素となります🧠
エキセントリック収縮(下ろす動作)を活用したトレーニング方法

効果的に下ろす動作を活用するには、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
1. 「降ろす」動作をゆっくり行う⏱️
通常のトレーニングでは、持ち上げる動作と下ろす動作を同じリズム、もしくは持ち上げる動作に集中してしまい、下ろす動作は力を抜いて戻しがちです。
しかし、エキセントリック収縮を最大限活かすには、下ろす動作を 3~5秒かけてゆっくり行う ことを意識しましょう。
例:
- スクワット:膝や股関節を曲げる際に3〜5秒かけてゆっくりと下ろす
- ベンチプレス:バーベルを胸に下ろすときに3~5秒かける
- ダンベルカール:肘を伸ばして下ろすときにゆっくりコントロールする
2. ネガティブレップを取り入れる👥
通常のセットの最後に、下ろす動作だけを行う「ネガティブレップ」すなわち、降ろす動作のみを集中して行うという事を追加するのも効果的です。
上げる動作は少し勢いを使ったり、素早くスムーズに持ち上げ、降ろす動作のみに時間をかけて行う。補助者がいれば、上げる動作をサポートしてもらい、下ろす動作を自力でコントロールすることで、より強い刺激を与えることができます。
3. エキセントリックトレーニング専用の日を作る📅
通常のトレーニングとは別に、エキセントリック収縮(下ろす動作)に特化したトレーニング日を設けるのも一つの方法です。
例えば、スクワットやデッドリフトを通常のトレーニングとは異なる重量と回数で実施し、下ろす動作を強調するメニューを取り入れることができます。
エキセントリックトレーニングの注意点⚠️
エキセントリック収縮は効果的な反面、筋繊維へのダメージが大きく、筋肉痛が強く出ることがあります。そのため、以下の点に注意しましょう。
- 最初から無理な重量設定を避ける
通常のトレーニングよりも高負荷が扱えるからといって、いきなり重すぎる重量で行うと怪我のリスクが高まります。徐々に負荷を増やしていくことが大切です。 - 適切な休息をとる
エキセントリック収縮を意識したトレーニングは筋肉への負担が大きいため、十分な休息と栄養補給を心がけましょう。その為頻度が多い場合は筋肉の回復が追いつかず疲労が蓄積し、非効率になる事もありますので、トレーニング頻度や前回のトレーニングの疲労も踏まえてトレーニングを行います。あまり疲労が抜けていない時や、トレーニングの頻度が多い場合はトレーニングの量などを調整していきましょう。 - フォームを崩さない
特にスクワットやデッドリフトなどのコンパウンド種目(関節が二つ以上動く動作)では、下ろす動作でフォームが崩れると腰や関節に負担がかかります。鏡や動画でフォームをチェックしながら行いましょう。👀
まとめ
エキセントリック収縮(下ろす動作)は、筋肥大や筋力向上、ダイエット、競技力向上の為のトレーニングにおいて非常に重要な役割を果たします✨
ただ重いものを持ち上げることに集中するのではなく、ゆっくりとコントロールしながら下ろすことで、トレーニング効果を飛躍的に高めることができます。
ぜひ次回のトレーニングから、エキセントリック収縮を意識してみてください!まずは普通にトレーニングする際に下ろす動作に最低3秒以上はかけてみましょう。
また下ろす動作では特に下ろし始めが大事になり、下ろし始めをゆっくり丁寧に下ろし始めることで、動作全体がゆっくりになりやすくなります。是非やってみて下さい💪