トレーニングを始めると、すぐに動作を習得し、効率よく成長する人がいる一方で、なかなか上達せず苦労する人もいます。この違いは「トレーニングセンス」とも呼ばれ、単なる運動神経の良し悪しだけでなく、身体感覚や感覚器の働きが関係しているんです🧠
本記事では、すぐに上達する人となかなか上達しない人の違いを、身体感覚や感覚器の観点から解説し、効果的なトレーニング方法について考えていきます!
1. トレーニングセンスとは?
「トレーニングセンス」とは、運動や筋トレの動作を素早く習得し、適切に体を動かせる能力のことを指します。これは生まれつきの要素だけでなく、経験やトレーニングによって向上させることが可能です💪
トレーニングセンスが高い人の特徴:
- 新しい動作をすぐに習得できる
- 筋肉の使い方を意識できる(マインド・マッスル・コネクションが強い)
- 力の入れどころ・抜きどころを理解している
- 体のバランスを素早く調整できる
一方、なかなか上達しない人は、これらの要素がうまく働いていない可能性があります。その原因を、身体感覚や感覚器の働きから掘り下げていきましょう。
2. 身体感覚と感覚器の違いが影響する
トレーニングの上達速度には、視覚、固有受容感覚、前庭感覚などの感覚器の働きが深く関わっています。
① 固有受容感覚(Proprioception)
固有受容感覚とは、自分の体がどこにあり、どのように動いているかを感じ取る能力のことです。
例えば、目を閉じても腕をまっすぐ伸ばせるのは、関節や筋肉のセンサー(筋紡錘・腱紡錘)が働いているからです。この感覚が優れている人は、フォームの修正が早く、筋肉の使い方を意識しやすいため、トレーニングの習得も速くなります🔍
固有受容感覚が弱いと?
- フォームを正しく再現できない
- 効かせたい筋肉を意識しにくい
- バランスが崩れやすい
改善策:
- ミラーを使って動作を確認する(視覚フィードバックを活用)
- スロートレーニングを取り入れる(ゆっくり動かして感覚を強化)
- バランストレーニング(片足立ちやバランスボールを活用)
② 前庭感覚(Vestibular System)
前庭感覚は、耳の奥にある内耳の機能で、体のバランスや姿勢を保つ役割を担っています。特にスポーツや重量挙げでは、姿勢の微調整が重要になるため、前庭感覚が優れている人ほど動作を素早く習得できます。
前庭感覚が弱いと?
- 動作中に体がブレる
- 姿勢をキープするのが難しい
- 急な動きの切り替えが苦手
改善策:
- 目を閉じてバランストレーニングを行う(視覚に頼らず感覚を鍛える)
- 片足スクワットやスプリットスクワットを練習する
- 回転系の運動(ターン、スピン)を取り入れる
- 対角螺旋運動を取り入れる
✅ 対角螺旋運動とは、体を対角方向にねじる動作を伴う運動で、右手と左足、左手と右足などを連動させる動きが特徴です。
❶ クロスクロール
- 立った状態で、右手と左膝をタッチ → 左手と右膝をタッチを交互に繰り返す。
- 目を閉じて行うと、前庭感覚がさらに鍛えられる 🔄
❷ 螺旋ツイストランジ
- ランジの姿勢(片足を前に出して腰を落とす)をとりながら、上半身を対角方向にねじる。
- 例:右足を前に出したとき、左方向に上半身をツイスト。
❸ スパイラルローテーション
- 仰向けに寝て、対角の腕と足をクロスさせながら起き上がる。
- 例:右手を左膝にタッチしながら、身体をねじって起き上がる。
❹ 片足バランスツイスト
- 片足立ちになりながら、上半身を左右にツイスト。
- これにより、バランスを保つ能力が向上する。
❺ キャットアンドドッグス
- 四つん這い姿勢になり身体を丸くしたり、反ったりする
- これにより体幹と四肢の位置感覚を高め体幹の協調性の向上、深層筋(インナーマッスル)を活性化する。
③ 視覚(Visual Perception)
視覚は動作の確認だけでなく、体の位置関係を把握するのに重要です。特にウェイトトレーニングでは、バーの位置や姿勢を目で確認しながら調整することが求められます👁️
視覚が影響する動作の例:
- デッドリフトやスクワットでバーの軌道を正しく追う
- スポーツでボールや相手の動きを正確にとらえる
視覚情報をうまく使えないと、フォームが乱れやすくなり、正しい動作を習得するのに時間がかかることがあります。
改善策:
- 鏡を使って動作を確認する
- 動画を撮影し、フォームを客観的に分析する
- 目の動きを意識したトレーニングを行う(視線を安定させる練習)
3. なかなか上達しない人のための具体的な対策
「トレーニングセンスがない」と感じている人も、適切な方法で感覚を鍛えることで改善できます🌟
① 動作をシンプルに分解する
複雑な動きが難しい場合、単純な動きに分けて練習すると習得しやすくなります。
例:
- スクワットがうまくできない → まずは椅子に座る動作を練習
- ベンチプレスでフォームが崩れる → 腕の動きだけを確認する(動きをぶつ切りにして考える)
② 低負荷・高回数で正しいフォームを身につける
いきなり高重量を扱うと、体の感覚をつかむ前にフォームが崩れてしまいます。まずは軽い負荷で、正しい動作を繰り返しましょう。
またアイソテンショントレーニングの様な負荷をかけないエアーで筋肉の動きの確認(筋肉が伸びる、縮む感覚)腕の角度、胸の張り具合などを確認し、各関節の位置、角度等を確認しながら行える軽量負荷からのトレーニングを行う💡
③ 自分の感覚を言語化する
「この動きをするときに、どこの筋肉が働いているか?」を言語化すると、意識しやすくなります。トレーナーに教えてもらうのも有効です。
例:
- 「スクワットのとき、太ももの前ではなく、お尻を意識する」
- 「デッドリフトで背中が丸まらないように、肩甲骨を寄せる」
④ 意識的にフィードバックを活用する
- 鏡を見て自分の動きを確認する
- スマホで動画を撮影し、客観的にチェックする
- トレーナーや経験者に指導を受けたら、正しく出来ている感覚を取り込む事をする(胸の張り具合はこれくらいで膝の角度はこれくらいなど意識できる感覚を取り込み次回行う時はその時行った正しい感覚を再現する様に行う)
まとめ
すぐに上達する人となかなか上達しない人の違いは、単なる運動神経の差ではなく、固有受容感覚、前庭感覚、視覚などの感覚器の働きに影響されています🧐
トレーニングセンスを高めるためには、自分の体の感覚を意識し、フィードバックを活用しながら練習することが重要です。
まずは位置感覚を活性化するトレーニングを取り入れて、動作時には鏡の確認、自分の感覚と実際の動作が合っているかの確認を行いましょう。正しいフォーム形が取れたらその感覚を頭で意識し、取り込む作業をおこない、次回の時にはその感覚を再現する様に行ってみましょう。
最初はよく分からないと思うことも多いかと思いますが、感覚に意識を向けて行うことで確実に上達しやすくなります✨
「自分は上達が遅い」と感じる人も、適切な方法で感覚を鍛えれば必ず成長できます。焦らず、楽しみながらトレーニングを続けていきましょう!